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今回は、障害福祉サービス事業を運営するうえで重要な「定員超過利用減算」の基本的な考え方と、具体的な計算方法について、障害児通所支援事業所を例に、分かりやすく解説します。
≪本記事で分かること≫
療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、児童発達支援(旧指定発達支援医療機関を除く)、放課後等デイサービス、共生型障害児通所支援、基準該当通所支援、障害児入所支援(指定医療機関を除く)
定員超過利用減算とは、事業所の利用定員を超えてサービスを提供したときに、利用者全員分の基本報酬(加算算定前)を30%減算するものです。
児童発達支援等の事業所では、指定基準においても「利用定員や発達支援室の定員を超えて支援を提供してはいけない」とされているため、定員を超えて受け入れることは、原則、基準違反とされています。
ただし、災害・虐待や以下のようなやむを得ない事情があるときは、例外的に定員超過が認められます。
1日でも、利用者の数が一定の基準を超えると、その日の利用者全員の報酬が減算されます。
| 利用定員 | 減算の基準 | 具体的な例 |
|---|---|---|
| 50人以下 | 利用定員 × 1.5 ➡ 利用定員が1.5倍(150%)を超えた場合 | 定員10人の場合 → 15人までOK 16人目からその日全員分が減算 |
| 51人以上 | 【障害児通所支援の場合】 利用定員 + (利用定員-50)× 0.25 + 25 を超えた場合 【日中活動サービスの場合】 (利用定員-50)× 1.25+75 を超えた場合 ※ともに、小数点以下切上げ | (障害児通所支援の場合) 定員60人の場合 → 88人までOK 89人目からその日全員分が減算 |
(注意)
①利用定員が51人以上の場合は、障害児通所支援と、日中活動サービスの計算方法が異なるため、注意が必要です。
【日中活動サービス】…生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型
②療養介護、短期入所(ショートステイ)、施設入所支援、障害児入所支援についてはさらに計算方法が異なります。
直近の過去3か月間の利用者の合計人数(延べ障害児数)が、決められた基準を超えていると、当該1か月間(※)の利用者全員の報酬が減算されます。これは「常に定員を超過している状態」と見なされるケースへのペナルティです。
| 利用定員 | 減算の基準(延べ人数) | 具体的な例 (開所22日の場合) |
| 11人以下 | (利用定員 + 3) × 開所日数 × 過去3か月 を超えたら減算 | 定員10人 → 858人までOK |
| 12人以上 | 利用定員 × 開所日数 × 過去3か月 × 1.25 を超えたら減算 | 定員30人 → 2,475人までOK |
(※)当該1か月間 の考え方
例えば、2月・3月・4月の利用者の合計人数(延べ障害児数)が基準を超えた場合、5月に定員超過利用減算を算定する必要があります。
定員超過が認められる場合でも、職員の配置(人員基準)を満たしていることは大前提です。
(例:利用人数が12 人の場合、児童指導員又は保育士を3人配置すること)
災害等やむを得ない事由により受け入れる障害児は、「延べ障害児数の人数」から除くことができます。
ただし、「障害の特性や病状等のため欠席しがちな子ども」の継続支援は、この取扱いの対象とはなりません(減算の判定人数から除外されるわけではない)ので注意が必要です。
定員超過利用減算は、事業所の経営に影響を与えるだけでなく、利用者の安全と適正な支援を守るためのルールとして理解し、適切な運営を心がけましょう。
《参考資料》